7/31 オールブラックスvsスプリングボックス 11’トライネーション第1戦 観戦記
オールブラックスはワールドカップの年のトライネーション初戦でベイビーボックス、または3軍のスプリングボックスと呼ばれる 南アフリカ相手にクルーズ感覚の快勝を見せました。
このゲームで初のお披露目になったニュージャ−ジーを着たオールブラックスはそのジャージー同様時代の変化に合わせた新たな 進化を遂げたようです。ゲーム開始から超高速の展開ラグビーを繰り広げ、ボールをどこまでも保持続け瞬く間に敵陣奥深く攻め込み トライを取り、また守っても確実堅固なタックル、そしてブレイクダウンでは決して見方を孤立させない集散の早さを見せつけ前半に3つの トライ、後半にも3つのトライを取り、南アフリカには前半に一つだけのトライを与えるに抑えてほぼ完璧なワールドカップへの準備ゲームと させたように思えます。先週のフィージー戦で見せた失敗も上手く克服させて来週のワラビー戦がとても楽しみになりました。
南アフリカは先週のゲームで更に主力の怪我人を増加させフルバックのジオ・アプロンがハムストリングスを痛め南アフリカに帰らされた ことにより当初10番にモーネ・ステイン、15にシャークスの新人;パトリック・ランビーを先発させていたのをこのゲーム直前に急遽この 二人のポジションを入れ替えました。これが恐らく思惑からは外れてステインからのキックプレイがこのゲームでは全く潜めたようになり、 若干20歳のランビーが活躍できる場面もほとんどボールが回ってこないので、守り一方だけでしか見られないようになってしまいました。
またモーネ・ステインもこのゲームでは昨年までの勢いというか輝きが薄れたように見られました。ゲーム開始直後ダニエル・カーターが 先行のペナルティーキックを決めた後ABのペナルティーでステインのペナルティーキックのチャンスが回ってきたのですが、このキックを彼は 外しました。これまで彼は2008年以来トライネーションのゲームではこのペンルティーキックをまったくミスっていないのがこれで停まりました。 確かにこの日のウエリントンは強風が吹き荒れカーターもこの後のコンバージョンキックを4本も外しています。
前半けれど、このゲームで南アフリカが唯一取ったトライはステインの単独の判断だということですが、13-0とリードを許した後AB陣地10m 入った右側でABがペナルティーを犯すといつもなら、ステインなら、そしてテストマッチなら確実にキックで3点を狙ってくるところをトライ狙いに 躊躇無く変更させABゴールライン手前5mのサイドライン外にボールを蹴りだしました。これには少しAB自身も少しい意表を突かれた感じで 南アフリカラインアウト後のデフェンスには何か気が抜けたような感じがしました。おかげであっさりとジョン・スミットにゴールポストしたに飛び 込まれてこの日唯一のトライを許す結果となりました。
この場面がこの日の南アフリカのハイライトといっても良いでしょう。他の時間はほとんどオールブラックスの思い通りの展開を引き立たせる 役割を助けてくれたように、時折ABと同じような速い展開でボールをどこまでも繋ぐアタックが見られましたが、トライまでには到らず、パスミス があったり、ブレイクダウンでABにボールを奪われ自陣に引き戻される羽目になりました。これで南アフリカmの遠征を終え、母国へと帰るわけ ですが、故障中の主力22人が秘密練習をしているとマスコミに叩かれている本国でのトライネーション残り2戦はもっと手ごわい相手になる でしょう。
この南アフリカが主力のほとんどが怪我で遠征には参加していないと言われていましたが、実はABの実情も似たようなものだったのです。 今回のゲームにはクルセイダーズでずっと連戦が続いたキエラン・リード、ブラッド・ソーンはベンチにも入っておらず、AB選抜はされている けど怪我をしていて出てこれないトニー・ウッドコック、アンディー・エリス、イサイア・トエアバ、リチャード・カフイ、ホセ・ギアー、イスラエル・ダグ などがいます。この怪我人の代わりとして今回バックアップ要員として選ばれていたワイアット・クロケット、コーリー・ジェーンがこのゲームでは トライを取り、アダム・トンプソンがキエラン・リードの代わりにNo.8で試されこのゲームではワールドカップでも6,7,8番全てのフランカーで 使えることを証明させています。
特にこのゲームではコーリー・ジョーンの活躍が光りました。彼はホセ・ギアー、イスラエル・ダグのバックアップ要員として選抜されていました が、スーパー15ではハムストリングスを痛めほとんどのゲームを欠場して、それを克服した後国内リーグ戦でとてもひどい指の脱臼をして トライネーション自体も出られないと思われていたのがこのゲームの先発に起用され、見事このゲームでは2トライをあげワールドカップへの 正式AB昇格への道を繋げた感じです。確かにこのゲームでの彼の働きは素晴らしいかった。ムレアイーナとのコンビプレイが特に抜群に 思えました。けれど来週からはイスラエル・ダグが復帰してくるようなのでこのウィング+フルバックスのポジション争いは熾烈さを増していきます。
このゲームがオールブラックスがワールドカップで優勝する為の本当の準備の為の第1戦だったと思いますが、上記のようにバックアップ体制 をテストしつつもこのゲームでは様々なポジション変化のテストも行われました。後半に入ってコーリー・ジェーンがチームとして4つ目のトライを 獲って25-7と点差をつけた後、ベンチから続々と控えを投入していきました。まず、この日がNZ国内でははじめてのABとしてのデビューとなった サニー・ビル・ウィリアムスがコンラッド・スミスと交代します。これでマアア・ノヌがセンターに移動してSBWが12番のポジションに入りました。 また65分にはそのノヌもベンチに下げられ代わりにコリン・スレイドが入り、彼が10番、そしてカーターが12番に下がり、SBWが13番の ポジションにつく体制が見られ、どちらのときにもこのバックスの展開から2本のトライをきれいに奪っています。それぞれこの体制の元カーターが やたらとバックスに指示?話しかけているのが印象的でした。
来週のワラビー戦ではどのようなバックス陣形になるかまだ分かりませんがワラビーズの強力、高速、個人技抜群のバックス陣との対戦が 非常に楽しみです。
オールブラックス 40−7 南アフリカ (前半18−7)
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