今週のNZラグビー

8/20 vs スプリングボックス戦 第2戦


15.イスラエル・ダグ
14.イサイア・トエアバ 13.リチャード・カフイ 11.ホセ・ギアー
12.サニー・ビル・ウィリアムス 10.コリン・スレイド
9.ジミー・コーワン

8.リーマ・メッサム
7.アダム・トンプソン 6.ジェロモ・カイノ
5.アリ・ウィリアムス 4.サム・ホワイトロック
3.ジョン・アフォア 2.ケビン・メアラム 1.トニー・ウッドコック
 

 
16.アンドリュー・ホー  (ケビン・メアラムと交代 61分)
17.ベン・フランクス (ジョン・アフォアと交代 51分)
    ジョン・アフォア (トニー・ウッドコックと交代 61分)
18.ジェラッド・ホエアタ (アリ・ウィリアムスと交代 68分)
19.ビクター・ビット (リーマ・メッサムと交代 68分)
20.アンディー・エリス (ジミー・コーワンと交代 53分)
21.ピリ・ウィープ (コリン・スレイドと交代 61分)
22.コーリー・ジェーン (ホセ・ギアーと交代 70分)


1.GurthroSteenkamp 2.ビスマーク・デュ・プリース 3.Jannie du Plessis
4.バッキー・ボッサ 5.ビクター・マットフィールド(C)
6.HeinrichBrussow 7.WillenAlberts
8.ピエアー・スピース

9.フォーリエ・デュ・プリ−ズ
10.モーネ・ステイン 12.ジーン・デ・ビリエー
11.ブライアン・ハバナ 13.ジャック・フォーリエ 14.JPピターソン
15.パット・ランビー


16.ジョン・スミット (ビスマーク・デュ・プリースと交代 61分)
17.Tendai(ビースト)Mtawarira (GurthroSteenkampと交代 41分)
18.CJ・バン・ダ・リンデ (Jannie du Plessisと交代 68分)
19.ダニー・ロッソウ (バッキー・ボッサと交代 48分)
20.AshleyJohnson 
21.フランシス・ホガ−ド (パット・ランビーと交代 19分)
22.ブッチ・ジェイムス
 

 8/21 スプリングボックス vs オールブラックス 第2戦 観戦記

 強い南アフリカが戻ってきました。ワールドカップ直前に本当の南アフリカのスタイルが見られるようになったと感じる
今回のオールブラックス戦でした。

 オールブラックスは2年前にこのトライネーションで南アフリカ相手に3戦全敗を記しているのですが、そのときの
南アフリカを思い出させる強さが18−5でオールブラックスを破ったこのゲームで見られたと思います。
テストマッチらしいお互い強力なぶつかり合いの中、南アフリカは超攻撃的なデフェンスを蘇らせ、ブレイクダウンを支配し、
そしてスーパーキッカー;モーネンステインのキック力を十分に生かした戦法で全般ではオールブラックスの方が
断然攻撃的に見られるのを守って勝ったと言えるゲームでした。

 今回のオールブラックスにはマッコウやダン・カーターなどの主力がいなかったわけですが、南アフリカもまだ
バックスにフランソワ・ステインが、そしてフランカーにシャック・バーガーが出てこれていません。幸いなことに
スプリングボックスのレギュラー7番のジュアン・スミスが怪我の回復が見込まれないことからワールドカップに出て
これないことが先週報道されたからまだましですが、このゲームでは一年ぶりのゲーム復帰を先週遂げた
6;HeinrichBrussowが更に調子を上げ、大事なところでのブレイクダウンでのボールを奪う姿が見られました。
これは2年前にマッコウが入っているチームでさえこのBrussowとシャック・バーガーにとことんブレイクダウンで
邪魔されたのを思い出させました。ワールドカップでベストメンバーになる両軍が対戦するのは恐らく準決勝になると
思われますが、このゲームを見るとちょっとオールブラックスの決勝進出が不安になってきました。仮にも南アフリカは
前回ワールドカップ優勝チームなので2連覇をもくろむのも不思議ではないでしょう。このゲームの結果でこの
ワールドカップの準決勝ゲームのチケットが南アフリカの人にさらにたくさん購入されそうです。

 ゲームは開始から攻撃的に勝るオールブラックスが総攻撃を仕掛け、7分までに2回はトライチャンスがありました。
どちらもこのゲームが久しぶりのフルバックに入るイスラエル・ダグの素晴らしいブレイクランやサニー・ビル・ウィリアムス、
そしてホセ・ギアー、リチャード・カフイ、イサイア・トエアバが作り出す高速連係プレイが絡んできましたが、最終ラインで
南アフリカも初っ端から強力でアグレッシブなデフェンスを見せ付けました。最初のトライチャンスだったジミーコーワンを
止めたブライアン・ハバナのタックルを始め攻めあがるデフェンスでABのパス回しにプレッシャーを欠け、そして
12.ジーン・デ・ビリエーや13.ジャック・フォーリエがボールを奪っていきました。もう最初からこの南アフリカから
トライを奪うのは容易ではないことが分かりました。

 そして南アフリカにはモーネン・ステインというスーパーブーツがいることを思い出させるようにこの後から南アフリカ
の得点は全てステインのキックからになりました。今年のスーパー15とこのトライネーション初戦ではあまり活躍が
見られなかったステインのキック力がここに来て輝きはじめました。こうなると南アフリカは守って、守って相手の
ペナルティーを取ると敵陣なら、ましてセンターライン付近でさえ、そしてどんなにサイドラインよりでもステインなら
キックで3点を取れるようになります。そのように6分にラックでのペナルティーでまず3点、その後8分と16分に
スクラムでのペナルティー2つで9-0とリードします。この3本のキックは全てセンターライン付近からの
長距離キックを難なく決めました。

 その反面オールブラックスの10番コリン・スレイドはやっと相手から得たペナルティーも40mの距離だったのですが、
わずかに外してしまいます。これが印象的だったのでスレイドのプレイはそれまでチームプランにあわせたキックプレイが
多いものだったのですが、どうしてもそのプレイが弱々しいものに見られました。なんだか相手のプレッシャーから
逃げのキックプレイに思えるようになりました。ヤッパリスレイドではまだ南アフリカ、そしてワラビーズレベルでは
通用しないでしょう。これではNZ国内リーグで活躍が見られているアーロン・クルーデンに代えろという声が聞こえてきそうです。

 この辺りからABのアタックが滞りを見せ始め、スプリングボックスのデフェンスのプレッシャーの前にとにかくワンテンポ
ほど出だしが遅く感じられるようになります。特にブレイクダウンで南アフリカはなるだけ手を出してはジミー・コーワンが
すばやいオープン攻撃に展開できないようにさせます。またボールを展開させても3度目のパスにはしっかり1対1のタックル
が襲ってきます。

 前半24分になってこの日初めて南アフリカはAB陣地22m内に入るアタックが見られ、ここでもゴールポスト下ラックでの
ペナルティーから易々とステインが3点を追加し、そして直後に再び22m内に押し入った際は今度もまたステインの本来
の姿を思い出させるドロップゴールを決められ30分には15-0となります。

 なんとしても前半終了までに得点したいABはやっとのことで35分、ラインアウトからのセットプレイで見事にバックス
(サニー・ビル・ウィリアムス/ホセ・ギアー)がラインブレイクを見せ、最後はリチャード・カフイが相手デフェンス3人と
絡まりながらもトライを取りました。しかしこの後のコンバージョンをスレイドは外してしまい、15−5と10点差にするだけで
前半を終了させます。このときも見られたのですが、南アフリカのデフェンスのプレッシャーがきつくてどうしてもバックスの
パスを繋ぐことが出来ず、やたらとデフェンスラインに突進して行っては強力タックルに跳ね返されたり、ブレイクダウンに
なってボールが奪われたり、スローフォワードになったりしていたのですが、サニー・ビル・ウィリアムスだけはデフェンス
ラインに突っ込んで行っても、タナ・ウーマンガ譲りの後ろ手にボールをパスが出来たりして、密集の中での、タックルを
受けながらのパスが上手く出せます。これは今後も彼がゲームで使われる大きな要因になりそうです。ちなみにこんな
強力ラインブレイクを任されるマアア・ノヌはこの日ウォーターボーイとしてピッチを走り回っていました。

 後半入ってもABの攻撃は緩められず、また南アフリカの最後まであきらめない執拗過ぎるデフェンスは続けられます。
何度もABのアタックはゴールライン手前で食い止められます。47分に自陣でラックからのボールを受けたイスラエル・ダグが
再び見事なカウンターアタック。デフェンスを突っ切り、左サイドラインよりを相手ゴールラインに向け独走態勢になります。
これに追いすがるのが前半途中からパット・ランビーに代わりベンチから出てきてWingに入るフランシス・ホガードで、
何とかダグは逃げ切れるかと思われたのですが、ゴール手前でホガードにつかまります。そしてダグは倒されながらも
サポートに来たジミー・コーワンにパスを出し、コーワンはトライを取ったかに思えましたが、この最終パスがフォワードパス。
パスを出したところで分かったのですが、主審はコーワンがちゃんとゴールラインを越え、ノックオンせずにタッチダウンできたか
どうかビデオレフリーにジャッジをゆだねます。このビデオレフリーが本来はゴールライン手前のことにはジャッジの権限が
無いにも関わらずこのフォーワードパスまで主審に伝え、このトライは無効になりました。まあこのジャッジはビデオレフリーに
なる前からトライではないことが分かっていたからいいものですが、このシーンもレフリーしだいで勝敗がガラッと変わることを
思い出させるものでした。

 この後の南アフリカゴール前5mのスクラムも南アフリカは無難に支配しピンチを脱したのですが、このスクラムも
南アフリカは先週のオーストラリア戦とは違ってちゃんと修正、そして強力なものへと進化させていました。それに比べて
トニー・ウッドコックがこの日60分までピッチに出てましたが、まだ全盛期のそれに戻っていなくて、ABのフロントローが
まだ固まっていないことへの不安が少し残りました。

 この60分にはコリン・スレイドに代えピリ・ウィープを投入するとバックスの動きはよりデンジャラスで多彩な攻撃が
出るようになりました。しかし最後の最後で、ゴールライン手前で南アフリカのデフェンスを崩せない状態が続きました。
まして後半になるとモーネン・ステインのキックプレイにもなんだか余裕さえ感じられるようになり、ちゃんとABのカウンター
アタックをさせないようなロングキックやハイパントを随所に見せました。そしてブレイクダウンでも最後まで南アフリカは
支配を続け、特に前半で眉間を切って流血した6.HeinrichBrussowの動きが緩まることが無くABの焦りを募るように
なり、特にこの日活躍が期待された7番に入るアダム・トンプソンが逆に動きすぎるほど動いた結果、後半には両軍に
とって唯一の得点となったペナルティーキックをステインに与え18−5で南アフリカはオールブラックスを破ったゲームと
なりました。

 南アフリカ 18−5 オールブラックス (前半15−5)

 



 

 

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