今週のNZラグビー

7/31 vs ワラビーズ 第1戦 


15.マリ・ムレアイーナ
14.コーリー・ジェーン 13.コンラッド・スミス 11.ジョー・ロコソコ
12.マアア・ノヌ 10.ダニエル・カ−ター
9.ジミー・コーワン

8.キエラン・リード
7.リチャード・マッコウ 6.ジェロモ・カイノ
5.トム・ドネリー 4.ブラッド・ソーン
3.オーウェン・フランクス 2.ケビン・メアラム 1.トニー・ウッドコック
  

 
16.コーリー・フリン (ケビン・メアラムと交代)
17.ベン・フランクス (オーウェン・フランクスと交代)
18.サム・ホワイトロック (ブラッド・ソーンと交代)
19.ビクター・ビット (トム・ドネリーと交代)
20.ピリ・ウィープ (ジミー・コーワンと交代)
21.アーロン・クルーデン (マアア・ノヌと交代)
22.イスラエル・ダグ (コーリー・ジェーンと交代)


1.ベン・ロビンソン 2.ステファン・モーアー 3.Salesi Brown
4.ディーン・マム 5.ネイザン・シャープ
6.ロッキー・エルソム 7.デビッド・ポコック
8.リチャード・ブラウン

9.ウィル・ゲニア
10.マット・ギットウ 12.ベリック・バーンズ
11.ドリュー・ミッチェル 13.ロブ・ホーン 14.ジェイムス・オコーナー
15.アダム・アシュレー・クーパー


16.Saia Faingaa (ステファン・モーアーと交代)
17.James Slipper (Salesi Brownと交代)
18.Rob Simmons (ネイザン・シャープと交代)
19.マット・ハドソン
20.ルーク・バージェス (ウィル・ゲニアと交代)
21.Anthony Faingaa (マット・ギットウと交代)
22.カートリー・ビール (ロブ・ホーンと交代)

 8/1 ワラビーズvsオールブラックス 第1戦 観戦記

 オールブラックスはまたもややってくれました。敵地でしかも南アフリカより手ごわいはずだと
予想されていたオーストラリア相手にまたもボーナスポイント以上となる7トライも取り、今年の
トライネーション3連勝として、もう向かうところ敵無し状態になっています。

 あまりに調子良すぎて、この辺りでその調子の良いのを誰か止めてくれないか?とまで思うよう
になっています。このままの状態で来年のワールドカップまで行けばいいのですが、過去の例から
見てもワールドカップの前年までは無敵状態だったのが本番になったらフランスなんかに負けて
しまう事があるように、また昨年はあれだけ強かった南アフリカが今年は一変してどん底におちて
いる状態から見ても、この辺りで劣勢のゲームをオールブラックスにどこか経験させてもらえない
でしょうか?こんな贅沢な悩みまで浮かんでくるような今回のワラビーズ戦のオールブラックスの
内容でした。

 ワラビーズは確かに南アフリカよりオールブラックスのゲームプランに似た、また新ルール下での
最善のプランを取ってオールブラックスに向かってきましたが、このゲームでも一人のプレイヤーが
大きく足を引っ張ることになり、また犯すミスがワラビーズのほうがトライに繋がることが多かったり、
デフェンスタックルの精度もオールブラックスの方が断然勝っていました。

 今回のゲームは両者の戦いであるテストマッチにしては10個のトライが乱発される、テストマッチ
らしからぬ内容でしたが、スピードある展開を求める新ルールの下ではこのようになってしまうの
でしょう。それにしてもこのゲームではゲーム開始からその点の取り合いもすさまじく速い展開で進み
20分ぐらいまではボールがとまるか、相手に奪われるたびにお互いの得点チャンスがやってくる
展開で、どこまでお互い得点することになってしまうのか分からない状態でした。

 まずゲーム序盤はワラビーズキックオフ後自陣からボールを繋ぎながらどんどん攻めあがる
スタイルでオールブラックスのラインデフェンスを押し下げていきます。そのデフェンスでオフサイドを
犯してまずワラビーズのギットウがペナルティーキックのチャンスを得て、右側からのキックをゴール
ポストに当てながらも3点を先行します。

 この後直ぐのキックオフからABがアタックにかかると自陣からセンターラインを超えたところで
ワラビーズがブレイクダウンでペナルティー。ゴールポストまで45mほどと距離はあったのですが、
この前のウェリントンでのゲームとは違いドーム球場の屋根はこの夜閉められ無風状態。カーターは
ゴールポストど真ん中にキックを決めてすぐさま3-3.

 そしてこの後のワラビーズキックオフボールからワラビーズがAB陣地に押し寄せ、22m内から
カーターがサイドラインに蹴り出そうとするそのボールをドリュー・ミッチェルが上手くチャージダウン。
転がるボールを上手く拾ったまま右隅にトライを取ります。このドリュー・ミッチェルがワラビーズにとって
はこの日の主役となりました。このトライでミッチェルは天国に向かい、チームも勢いに乗りかけますが、
この後直ぐにミッチェルは地獄へと叩き落されます。またチームの勢いも1分ぐらいしか続きませんでした。

 まずその兆候としてコンバージョウン・キックを右隅からギットウがまたもや右ポールにボールを当てて
外し、8-3となりますが、カーターのキックオフで再開したゲームは今度はワラビーズが自陣22m内から
ベリック・バーンズがサイドラインに蹴り出そうとしたボールにカーターとマアア・ノヌが猛烈ダッシュで
チャージダウン。このボールをカーターが拾って自ら本当のお返しトライを取ります。もちろんカーターの
コンバージョンキックはしっかり決まり、8-10とオールブラックスが逆転。

 そしてワラビーズもゲームの流れにあわせ早いテンポでこの後も攻め込みますが、センターラインでの
ブライクダウンでカイノがボールを奪うとすぐさまボールは展開されブラッドソーンがデフェンスライン一発
ぶち当たった後メアラム/ノヌ/スミスとボールは繋がれWingのコーリー・ジェーンまで行ったところで
ジェーンはワラビーズ、キャプテン;ロッキー・エルソムにサイドライン外に押し出される間際に絶妙の
キックを見せてボールをワラビーズ22m内に転がします。このボールをワラビーズのバックスが戻る
より早く拾ったムレアイーナがゴールラインを駆け抜けトライ!コンバージョンは外れますが、8−15と
なります。とにかくオールブラックスがボールを奪ったらそこからのアタックはとてもとても早い。そしてその
ボール回しがとても上手い。バックスはもちろんのことブラッド・ソーンや、ジェロモ・カイノなどのロック、
フランカー陣も断然上手い。

 ワラビーズはまだまだオールブラックスから流れを取り戻すチャンス、ゲームプラン通りのプレーを
取り戻すチャンスはあったのですが、この辺りから自らのミスでそのチャンスを取り逃がしていきます。

 まず8−15になった直後からのキックオフ後直ぐにペナルティーキックを得ますが、ギットウがこの
右側からのキックを今回はポールに当てることも無く右側に大きく外します。けれどこの後直ぐに再び
ペナルティーをABから奪い、今度は左からのキックだったのでギットウのキックも決まり11-15と
つめます。

 そしてワラビーズもデフェンスが踏ん張りを見せ始め、ABのアタックを22mラインで食い止め、早い
テンポを止め、ラックでこの日も大活躍になったデビット・ポコックがブレイクダウンでボールを奪い、
22mライン内からボールを回して攻め上がろうとするところでオーウェン・フランクスがワラビーズ
アタックラインに対してオフサイド、しかもタックルがショルダーチャージと見なされイエローカード
が出されます。

 ここでオールブラックスは14人になってワラビーズは断然有利にゲームを進めることが出来たはず
なのに大きなミスがこの後続きます。まず相手のイエローカードから流れを止めたくないのか22m内から
AB陣地へと蹴りだしたキックボールはサイドラインをきらずあっさりABのカウンターアタックを誘います。

 そしてセンターライン上でこのアタックを食い止めたにもかかわらずラックでワラビーズがペナルティー、
ゆっくりと時間を稼ぎたいに対してラインアウトのチャンスを与え、しかも自陣に引き戻されABのアタックを
防戦することになります。そしてこのデフェンスは一旦上手くいって、センターラインまでボールを戻します。

 ここでまたワラビーズはラインアウトのスローインをミスり、あっさりボールをABに渡します。そしてこの
ボールがカーターに渡るとカーターはワラビーズバックスの手薄になっている左隅にボールを蹴り込みます。
このボールにはアシュレークーパーが追いつくのですが、22mライン手前で追いついたためそのまま
ボールを持って走り始めるところにABのバックス陣;ノヌ、ロコソコ、そしてコンラッドスミスがこぞってなだれ
込んできます。あっという間にアシュレークーパーはラックで孤立してボールをABサイドにこぼします。
ここにタイミングよく駆け寄ってきたのがリチャード・マッコウ。ボールを地面からすくい上げるとサイドライン
際を駆け上がる。デフェンスタックルが一人襲って来るのをステップで交わしたマッコウはそのまま、ゴール
ラインに倒れこみトライ!.このトライはオールブラックスのフォワードとしてはジンザン・ブルックを抜く最多
のトライ数となりました。

 まだまだワラビーズのミスは続きます。この後直ぐにはワラビーズもキックオフからAB陣地になだれ込み、
22mライン上でペナルティーを取り、得点チャンス到来と思ったのもつかの間、逆サイドでTV画面には全く
映ってなかったところのどこかで、ドリュー・ミッチェルがショルダーチャージを犯していて、これに対して
イエローカードが出されワラビーズも14人になってしまいます。まして得点チャンスも吹き飛び、ペナルティー
キックもカーターに譲ることになります。

 この後ワラビーズはABが14人の間に何とかペナルティーを一つ得て3点を取りますが、全く流れを
取り戻せずイライラが募っていくことになります。そのイライラが最も際立ったのがキャプテンのロッキー・
エルソムで何度か主審に対してアピールを繰り返しては跳ね返され、最後は主審から反感を買うようになり
14-22になった後直ぐにそのロッキー・エルソムのペナルティーからABにあっさり3点を返されます。

 前半はこのようにワラビーズが点を取るとABはその倍返しで得点するようなことになり、どんどん得点差が
ついていきます。この日両軍ともセットプレイなどは互角の戦いのようでしたが、唯一決定的にABの方が上手く
行ったのがキックオフ後のボール処理です。ワラビーズが苦労して得点を挙げた後のキックオフボールをこの日
はことごとくABが支配しました。カーターのキックボールの落としどころが絶妙というのもありますが、得点された
後の反撃の切っ掛けがすぐさま始まるといった感じでこれがワラビーズに追加点を簡単には許さない、流れを
返させないことにつながりました。

 前半36分にオールブラックスはこの日4つ目のトライをコーリー・ジェーンが取って14−32で折り返すと
後半始まって直ぐにワラビーズはこの日のゲームを決定的に決めるミスを犯します。この日先制トライを取った
ドリュー・ミッチェルがABのアタックを受け自陣サイドラインにアシュレークーパーと共に押し出されたボールを
コンラッド・スミスがクイックスローインを試みようと手にしたところを叩き落とした行為が遅延行為と見なされ、
この日二つ目のイエローカード=レッドカード退場処分を受けます。

 この両軍の長年続く対戦でレッドカードが出されたのは初めてのようですが、ワラビーズは後半入って何とか
自分のスタイルで反撃しようとしている矢先に14人になってしまいゲームを自ら決めてしまったような
雰囲気になります。

 その通りこのペナルティーからABはワラビーズ陣地で攻めあげムレアイーナが45分にトライを取り14-39
となります。25点差がつきまだ時間も残り35分も残っているのでABAがどこまで得点するかという興味も出て
きましたが、ここからワラビーズは14人でこの日やりたかったスタイルのアタックに出てきます。

 このアタックはボールを回して、自陣から攻めあがるABと同じスタイルになりますが、ABのデフェンスも
さすがに硬いのであっさりとトライまで結びつくことはありません。しかし時間を掛けて少しずつ陣地を奪って
行き、ABゴールラインへとどんどん近づいていきます。時間は掛かりますが、相手にボールを渡さない、攻撃
のチャンスを与えない、敵地でゲームを進めることは後半入ってどんどんワラビーズは14人で成し遂げて
いきます。後半ワラビーズハこのようにして2つのトライをあげますが2つともアタックを開始してから10分間の
時間が掛かっています。

 これに対してオールブラックスはその得点を与えた直後に流れるような早い展開ラグビーでキックオフから
2分半で一つのトライを取り、最後の最後にも全員参加の展開ラグビーでコーリー・フリンがおまけのような
トライを取って、結局は取られたら取り返すという前半とはあまり変わらない、終始劣勢になることのないゲーム
を見せてくれました。

ワラビーズ 49−28 オールブラックス (前半14−32)

 


 

 

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