今週のNZラグビー

10/30 オールブラックス vs オーストラリア・ワラビーズ 香港戦 


15.マリ・ムレアイーナ
14.コーリー・ジェーン 13.コンラッド・スミス 11.ジョー・ロコソコ
12.マアア・ノヌ 10.ダニエル・カーター
9.ジミー・コーワン

8.キエラン・リード
7.リチャード・マッコウ 6.ジェロモ・カイノ
5.トム・ドネリー 4.ブラッド・ソーン
3.オーウェン・フランクス 2.ケビン・メアラム 1.トニー・ウッドコック
  


16.ヒカ・エリオット 
17.ジョン・アフォア (オーウェン・フランクスと交代)
18.サム・ホワイトロック (トム・ドネリーと交代)
19.ダニエル・ブレイド 
20.アルビー・マシューソン (ジミー・コーワンと交代)
21.ステファン・ドナルド (ダニエル・カーターと交代)
22.イサイア・トエアバ (コーリー・ジェーンと交代)


1.ベン・ロビンソン 2.ステファン・モーアー 3.ベン・アレキサンダー
4.マーク・チゾルム 5.ネイザン・シャープ
6.ロッキー・エルソム 7.デビッド・ポコック
8.Ben McCalman

9.ウィル・ゲニア
10.クエイド・クーパー 12.マット・ギットウ
11.ドリュー・ミッチェル 13.アダム・アシュレー・クーパー 14.ジェイムス・オコーナー
15.カートリー・ビール


16.Saia Faingaa (ステファン・モーアーと交代)
17.James Slipper (ベン・ロビンソンと交代)
18.ディーン・マム (マーク・チゾルムと交代)
19.リチャード・ブラウン 
20.ルーク・バージェス (マーク・チゾルムと交代)
21.ベリック・バーンズ (マット・ギットウと交代)
22.ロキー・ターナー

 10/31 オールブラックス vs ワラビーズ 香港戦 観戦記

 ついに、ついにオールブラックスの連勝が止まりました。止めたのはやはりこの永遠のライバル;
ワラビーズ。ワラビーズはこれで対オールブラックス11連敗を免れたことになります。

 ワラビーズは前回のシドニー戦でリードしていたにもかかわらず後半逆転され1点差を覆すことが
出来なかった事を精神面での弱さが指摘され、その後練習でも様々な状況でのシュミレーションが
行われてきた成果がこのゲームでしっかりと出せたようです。オールブラックスにとってはその
シドニー戦とは全く逆の立場に立たされたことになりました。

 ワラビーズは確実にチーム若返りがロビー・ディーン監督の元、実をむすびはじめています。今回
の大逆転勝利を導いたのも最後は20歳のジェイムス・オコーナーでしたが、ゲーム中常にABの
デフェンスを崩していったのはカートリー・ビールであり、クエイド・クーパーなどの若手、そしてAB陣地
に居座れたのはブレイクダウンでのデビッド・ポコックの活躍があったためだと見られました。

 しかし最後のトライがされるまでは多くの人はオールブラックスが逃げ切るだろうと見ていたと思います。
途中24−12まで点差がついた時点ではAB勝利を楽観してもいたと思います。私がそうでした。けれど
この時点からABはテストマッチは久しぶりの控えをベンチから出し始めそれが今日は補強ではなく
弱点になって行きました。

 まして得点差がついてからのワラビーズのアタックはすごさを増して行きましたが、ゲーム開始から
この日のワラビーズは攻め続ければ、プレッシャーを掛け続ければいずれはその結果が出ること自ら
証明させました。

 観客席の上部はかなり空席が目立つ(それでも26000人は入ったらしい)香港戦が始まると最初の
30分は完全にワラビーズペース。テリトリー、ボール所持率共にワラビーズが圧倒。ABのミスも加えて
ワラビーズはABにキックオフから強いプレッシャーをかけ続けました。

 しかしこのプレッシャーに対してワラビーズのキッカーが期待はずれになります。キックオフから最初の
ブレイクダウンでペナルティーを取ったキックと直ぐ後にオフサイドでのペナルティーキック2本連続で
カートリー・ビールが右サイドからのキックを大きく外します。けれどワラビーズのアタックは執拗に続き
ABデフェンスを22m内に釘付けにした後クエイド・クーパーが8分にマアア・ノヌが足をすべられせ
タックルに来れない隙をついてトライをあげ5−0とします。このコンバージョウキックは左サイドから
だったのでこの日は左からはマット・ギットウになっていたようですが、このギットウもキックの調子は
ボロボロ。このコンバージョンを外した後前半終了間際ABの逆転トライに繋がるペナルティーキックも
外しています。

 これに対して手術後最初のゲームとなったダニエル・カーターですが、ゲーム中にそのキックの調子を
取り戻していきました。結果的にはこう言えるのですが初めはさすがに心配ムード。ゲーム前でさえまだ
100%の調子ではない事が伝えられていました。

 ワラビーズが最初の得点をとった後もABはそのプレッシャーに押されなかなか敵陣へとは入れません。
ましてワラビーズはカートリー・ビールやウィル・ギニアなどの速さと小技でどんどんゴールラインを脅かします。
これを食い止めたのはABの強力デフェンスであったのですが、スクラムが特にワラビーズを圧倒しました。
トライにつながりそうなワラビーズのスクラムボールを上手さと強さでボールを奪い返しアタックラインを
押し下げます。そしてワラビーズ陣地にやっと入ったところで得たペナルティーを早速キックで狙います。
このキックをダニエル・カーターは最初センターライン近くの左サイドからのキックはゴールポストにあて、
そして直後にワラビーズ陣地10mほどの左サイドからのキックを外します。

 このペナルティーキックが外れた後一旦はABのアタックが行われましたが、直ぐにボールはワラビーズに
戻りセンターラインまでABも戻されます。そしてワラビーズラインアウトからきれいなトライがアダム・
アシュレーク−パー単独で出されます。ラインアウトからのボールを中央で受けたアシュレークーパーは
甘いノヌのタックルを交わし強行突破。フラットなデフェンスラインを抜けた後は一気に22mラインまでセンター
ラインから独走。そして22mラインを超えたところでサイドステップを一発いれタックルにきたコーリー・
ジェーンを交わしゴールイポスト下にトライ!。これで12−0となりまるでシドニー戦と同じようなワラビーズ
2トライ先行となります。

 そのシドニー戦と同じようにここからオールブラックスは逆襲に出ます。これを支えのはオールブラックス
フォワードでした。特にスクラムでの強さとマッコウ、キエラン・リード、ジェロモ・カイノのフランカー陣3人の
強力アタックでした。12−0となった後もワラビーズはオールブラックスゴールライン手前まで攻め込ん
できてスクラムを得ますが、このスクラムを回してボールを奪い取ります。2回連続してスクラムで危機を
免れた後ABもワラビーズ陣地深く攻め込み、ゴールラインを何度か脅かした後ワラビーズの頑固な
デフェンスを最後はジミー・コーワンがこじ開けてゴールポスト下にトライを取ります。

 その直後クエイド・クーパのキックオフミスで得たABボールのスクラムからジェロモ・カイノがボールを
持って中央を突き進むと他のものもそれに続くようにガンガンラインに突っ込んで行き押し進んでいきます。
何度かラックの後22mライン手前まできたところですばやくカーター、キエラン・リードとボールが上手く
繋がって最後はコーリー・ジェーンが右角にトライを取ります。この2本のトライで12-14と逆転に成功
しますが、その時間わずか10分ほど。

 この後一旦はワラビーズ、今度は上手いキックオフからなだれ込んでABゴールライン手前でペナルティー
を得ますが、このキックをマット・ギットウが外します。これに対してABはまたもやスクラムでワラビーズから
ペナルティーを2回連続でとってワラビーズ陣地10mの左サイドからカーターがゴールポストど真ん中に
ペナルティーキックを決め12−17となったところで前半が終わります。

 後半入ってもワラビーズの強力プレッシャーは続けられABは自陣にしかも22m内に釘付けにされながらも
しっかりと守ります。まして10mラインで得たペナルティーを右サイドからマット・ギットウが外し得点できません。
(この時点で相手22m内でのプレイ時間はワラビーズ10分に対してオールブラックスは3分)そして攻め続ける
ワラビーズにもミスキックが目立つようになり、堅く守られるとオールブラックスのアタックもボールが繋がり
前進が進むようになっていきます。

 後半52分センターライン上、左サイドのABラインアウトからすばやくボールは展開され右サイドへ。右サイド
ライン際ワラビーズ陣地に入ったところでボールを受けたリチャード・マッコウがデフェンス3人に絡まれながらも
縦に突き進み22mラインを超える。ラックとなったところでボールはすばやく今度は左サイドに向けまわされ、中央
付近でボールを受けたマアア・ノヌが左に流れながらもタックルを交わしトライを取ります。カーターの
コンバージョンも決まり24−12と得点差が開きます。この時点でこのままオールブラックスの勝利は硬いもの
に思えました。

 けれどこの日のワラビーズはシドニー戦での教訓がここから生かされていきます。そしてABには選手交代の
不運が出てきます。ABのトライの直前には怪我をしたコーリー・ジェーンに代わりイサイア・トエアバがピッチに
出てきていました。ワラビーズサイドからのキックオフ後ABは自陣からボールを回していつものように攻め
あがろうとします。これに対してワラビーズは強力に守りをかためます。ABの前進に対して自陣へ立ち入られない
ように踏ん張ります。ABは上手くボールを繋いでいるように見られましたが実は前進が出来ませんでした。

 そしてABアタック中のノックオンの為ワラビーズボールのスクラムになります。このスクラムの間にカーターに
代わりステファン・ドナルドがベンチから出てきます。(この交代はハーフタイムのときに監督とチームドクターとの
協議で決まっていたらしい。)そしてこのワラビーズ陣地10mライン上、左サイドのスクラムから出されたボールは
すばやくバックスに展開。クエイド・クーパー/カートリー・ビールと2本のパスだけで右サイドまで回されたボール
をもってビールは縦にライン突破。(このデフェンスに入るイサイア・トエアバが手前で足を滑らせあっさりビール
に抜かれている。)一気にビールはAB陣地22mライン手前までやってきてサイドライン際駆け上がるドリュー・
ミッチェルにパス。そのままミッチェルはゴールラインに向かって突き進み左隅にダイビングトライをあげます。
そしてこの日ワラビーズとしては3人目となるキッカーにジェイムス・オコーナーが指名され、左端からの
コンバージョンをきれいに決め24-19の5点差に戻します。

 この時点で時計はまだ60分過ぎ。しかしここから10分間はABは攻めながらもワラビーズのデフェンスに阻まれ
自陣から抜け出すことが出来無い。またワラビーズはキックを使ってボールをAB陣地深くまで直ぐに戻す。こうして
ワラビーズはABにプレッシャーをかけ続けたのですが、ABも70分過ぎにやっとセンターライン付近から狭い範囲
で細かくラック&ゴーを使って少しずつワラビーズ陣地に入って行き、フォワードがやっと22mラインを越えてゴール
ライン手前5mに達したところでペナルティーを得ます。この重要なペナルティーキックを右サイド10m入ったところ
からステファン・ドナルドはわずかに外してしまいます。これが決まっていれば8点差と出来たのに。

 そしてここからゲーム終了まで全く目の離せない展開が続けられます。ワラビーズの猛攻が続けられ、それに
対してすさまじいデフェンスが繰り広げられます。球場自体も異様な盛り上がり方を見せていきます。

 76分、ワラビーズ22mライン内のドロップオフから始まる猛攻で自陣からボールを繋ぎながらオール
ブラックス陣地へと徐々に入って行きます。一度ABペナルティーをはさみAB22m内へ入りますがABもデフェンス
は強力。22m内、ゴールライン手前5mに迫っても硬いデフェンスは続けられますが、ペナルティーで再びワラビーズ
のアタックは続く。そして時計は79分35秒になったところでラックでボールをABに奪われます。このラックからのボール
をインゴールから蹴りだしたステファン・ドナルドのボールはセンターラインを超えますがサイドラインを切らない。

 そしてこのボールを受けたカートリー・ビールにイサイア・トエアバとコンラッド・スミスが立ち向かいに駆け上がり
ますが、ビールはこの2人をあっさりとステップで交わし再びAB陣地22m内へと戻ります。そしてワラビーズの猛攻が
また繰り返されるのですが、直ぐにサイレンが鳴り80分を時計は過ぎます。ゴールライン手前5mまで達したところで
ペナルティーを一度取り、そしてその後ハイタックルを受けながらもアタックを続けたワラビーズは81分20秒にやっと
ジェイムス・オコーナーがデフェンスラインをこじ開けてトライを取ります。けれど得点はこの時点では同点の24-24のまま。

 この後ブーイングも混じるけどほとんどワラビーズを応援する歓声のほうが多そうな異常なほど騒然とした状態で
オコーナーは右サイドからクールにコンバージョンキックを蹴ります。このキックの際オールブラックスのほとんどの
メンバーがゴールラインからチャージに駆け上がっています。しかし高く蹴り上げられたボールはゴールポストど真ん中
をつきぬけていきました。

 オールブラックス 24−26 ワラビーズ (前半 17ー12)


 


 

 

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