今週のNZラグビー

9/11 vs ワラビーズ 第3戦 


15.マリ・ムレアイーナ
14.コーリー・ジェーン 13.コンラッド・スミス 11.イスラエル・ダグ
12.マアア・ノヌ 10.アーロン・クルーデン
9.ピリ・ウィープ

8.キエラン・リード
7.リチャード・マッコウ 6.ビクター・ビット
5.トム・ドネリー 4.ブラッド・ソーン
3.オーウェン・フランクス 2.ケビン・メアラム 1.トニー・ウッドコック
  

 
16.コーリー・フリン (ケビン・メアラムと交代)
17.ジョン・アフォア (オーウェン・フランクスと交代)
18.アンソニー・ボリック (トム・ドネリーと交代)
19.ジェロモ・カイノ (ビクター・ビットと交代)
20.ジミー・コーワン (ピリ・ウィープと交代)
21.コリン・スレイド (アーロン・クルーデンと交代)
22.レネ・レンジャー (コーリー・ジェーンと交代)


1.ベン・ロビンソン 2.ステファン・モーアー 3.Salesi Ma’afu
4.マーク・チゾルム 5.ネイザン・シャープ
6.ロッキー・エルソム 7.デビッド・ポコック
8.Ben McCalman

9.ウィル・ゲニア
10.クエイド・クーパー 12.マット・ギットウ
11.ロキー・ターナー 13.アダム・アシュレー・クーパー 14.ジェイムス・オコーナー
15.カートリー・ビール


16.Huia Edmond 
17.James Slipper (Salesi Ma’afuと交代)
18.ディーン・マム (マーク・チゾルムと交代)
19.リチャード・ブラウン (マーク・チゾルムと交代)
20.ルーク・バージェス  (ウィル・ゲニアと交代)
21.ベリック・バーンズ (クエイド・クーパーと交代)
22.アンソニー・ファインガ 

 9/12 ワラビーズ vs オールブラックス 第3戦 観戦記

 またもやオールブラックスは勝ってしまいました。しかも逆転勝利で。しかも後半最後の20分での
逆襲勝利。すごいです。誠にもって今のオールブラックスの連勝街道爆進はどこのチームも停める
ことはできなさそうです。このまま今年のテストマッチ全てに勝ってオールブラックスの歴史的連勝
記録17も軽く伸ばしそうです。

 このゲームではまたもやキャプテン;リチャードマッコウの姿が燦々と光り輝くことになりました。
逆転劇に繋がるトライを取ったことも言えますが、ゲーム始まってから終わりまでまたもやその疲れが
全く見られない働き、そして逆転へ、勝利へ向けての確実なチームへの指示がなんと言ってもしっかり
と見られたと思います。

 このゲーム、私は負けても良い、ゲーム後半には負けるだろうと思っていたのですが、マッコウを
はじめオールブラックスのベテラン連中はしっかりと信念を持って勝利に向かって行ったようです。
得点差がついてもパニックには陥らずゲームの流れ、相手の弱点をその流れの中で確実に見つけて
突いて行くことはオーストラリアに比べてキャップ数が豊かなベテラン勢がそろっていたところからも
来るでしょう。これは今後のゲーム、特にワールドカップにも非常に頼りになりそうなことです。

 その来年のワールドカップへの準備としてこのゲームはまた貴重な経験だったでしょう。前回の
ワールドカップと同様来年もしかしたらダニエル・カーターが怪我で不調かもしれない。このことから
今回アーロン・クルーデンが先発されましたが、彼にとってはいい経験になったことでしょう。このゲーム
ではやはりオーストラリアぐらいの相手だとまだまだ実力不足といったところでした。また同じく先発に
入ったビクター・ビットも同じようにまだまだ力不足といったところを見せて、後半ジェロモ・カイノと
代わった後のオールブラックスのアタック、ブレイクダウンが見違えるように強くなったところからも
分かりました。けれどほかに若手の先発起用としてWingに入ったイスラエル・ダグは十分実力
どおりのプレーを見せ、こちらは今後の活躍がもっと期待されるものになりました。

 ゲームは初っ端からスリリングなテンポの早いアタッキングゲームが繰り広げられます。前半40分は
ハイスピードな展開が続き、お互いボールをフィールド内にとどめて常に動かし相手の隙を探っては
突っこんで行く。これに対して両軍ともしっかりとガードを固め、攻めあがるデフェンスで突破口を許さない。
そしてお互いわずかな突破口を突いてトライに向かってゴールラインに迫るけど、これまたお互い最終タックル
でトライを許さないプレイが続きました。

 ゲーム始まって最初のオーストラリアペナルティーからピリ・ウィープが確実にキックでしとめて3点先行
した後、オーストラリアがアタックの場面を迎えるとボールを繋ぎながらそしてABのブレイクダウンでの
ペナルティー、またオフサイドなどを誘いながらオーストラリアも早いテンポで流れを止めず22m内へと
突き進んできます。そしてあっという間にWingのロキー・ターナーが左サイドラインをパスを受けてから
駆け上がり左隅に飛び込んできれいにトライを取ったと思ったのが、最終タックルに入った
コーリー・ジェーンがボールが地面につけられるわずか直前にターナーの足をサイドラインに引っ張り出して
いるのがビデオ判定で分かります。ノートライとなりますが、その前のオフサイドからペナルティーキックが
与えられ3-3の同点になります。

 このターナーは今季テストマッチに初めての出場でしたが、このゲームでは常にデンジャラスな存在でした。
またフルバックのカートリー・ビールもボールを持ったら非常に危ないアタッカーでした。そのビールがオール
ブラックスの初トライを最終タックルでこの後直ぐ防ぎます。同点の後ABがオーストラリアの自陣からの攻め
あげでボールをターンオーバーするとクルーデンがデフェンスラインの裏にグラバーキックでボールを
転がします。これに上手くイスラエル・ダグがサイドライン際で拾ってそのままゴールラインに突き進みますが、
ゴールライン手前でサイドラインに押し出されるタックルを浴びます。このタックルの直前に後ろから駆け寄った
マアア・ノヌにパスが繋がりノヌは左隅にタッチダウンするだけになりますが、このノヌにも強烈なタックルが
カートリー・ビールから浴びせられ、いかにノヌでもどうすることも出来ずゴールポスト直ぐ手前でサイドに
押し出されます。

 この後まだトライセイブの場面は見られます。オーストラリアは一旦ゴールライン手前5mのラインアウトから
ボールをセンターラインまで戻しますが、そのセンターライン付近でのブレイクダウンでABにボールを
奪われます。ボールを奪ったABはすぐさまバックスにボールを展開。ここでもノヌ、そしてイスラエル・ダグが
上手くボールを繋ぎます。そしてダグがボールを持って左サイドライン際を駆け上がりますが、さすがに10m
ラインを越えた辺りでは相手デフェンスが周りにたくさんやってきます。ここで中央を見るとムレアイーナが
手を上げてフリーになっていることの合図を送っている。そこでダグは相手タックルが飛んでくる直前に上手く
中央に向けてボールを蹴り上げます。このキックボールがムレアイーナの前方、ゴールポスト下に向かって
転がることになりムレアイーナはこのボールを追いかける。けれどこのプレイをいち早く察知したロキー・
ターナーが同じくボールをそしてムレアイーナを追いかける。そしてムレアイーナはボールにゴールライン手前
5mほどで追いつくことが出来たのですが、ターナーも同じくムレアイーナに追いつきタックルをかます。この
タックルでムレアイーナはわずかゴールライン直前で止められトライを阻止されます。併せて他のオーストラリア
バックス、フォワードの一斉に戻ってきてその後のABの攻撃を食いとどめますが、ラックでペナルティーが合って
ABは3点を取るだけになります。

 この3-6となった11分からABは前半得点することが出来なくなります。ABはこの後ミスが続くことになり
オーストラリアの得点チャンスが続くことになります。

 AB陣地中央まで入ったところ右寄りのオーストラリアスクラムからNo.8;Ben McCalmanがブラインド
サイドを突いて駆け上がります。この際サイドライン寄りにはジェームス・オコーナーしかいなかったのですが、
スクラムからビクター・ビットが勘違いしてか?すばやくこのオコーナーのカバーに入ります。その動きを
見計らってMcCalmanはビットとスクラムの間をすり抜けて行きます。そして22mラインまで達したところ
ABNo.8のキエラン・リードのタックルを受けますが、サイドライン際を駆け上がってきているオコーナーに
パスが渡り、オコーナーはパスを受けたあとは何も障害なくゴールラインにダイブトライを上げました。

 このトライの後のコンバージョンを右端からのキックをマット・ギットウは決めることが出来ず得点は8-6と
この日初めてオーストラリア先行となります。

 このゲームもしこのギットウのキックが調子よければオーストラリアは楽にゲームを進めることができた
でしょう。しかしこのコンバージョンを外した段階ではそんなこと誰もわからない。けれどこの後直ぐに訪れた
ペナルティーキックを再びギットウは外します。このキックは両方とも右側から。そして30分に再びペナルティー
をABから奪うとギットウはこのキックはしっかり決め11-6となります。このキックは左側から。この時点で
もしキッカーをビールに代えていたら状況は変わっていたかも?そんなことが後になって思われる場面が
5分後にあらわれます。ノヌのハイタックルから得たペナルティーキックをギットはまたもや外してしまいます。

 それでも前半終了間際まではオーストラリアは攻勢を続け最後にゴールライン手前まで攻め込み
ペナルティーを左サイドで奪ってギットウのペナルティーキックで3点を加え14ー6で折り返します。

 前半終わった段階ではギットウのことがあるけど誰もがオーストラリア有利なのを疑わなかったでしょう。
オールブラックスは今年のこれまでのゲームよりも明らかにアタックの精度が劣っていて、ハンドリングエラー
、ミスタックルがオーストラリアをより多いことから前半の相手陣地22m内に入り込む時間はオーストラリアの
それより大きく下回っていました。けれど後半オールブラックスの巻き返しは誰もが期待したはずです。
これはオーストラリアの選手にも分かっていたことで後半のスピードアップは警戒されていたようです。

 しかしオールブラックスは後半序盤巻き返しを試みるも自らのミスで機会を逃し、逆に相手に追加点の
チャンスを与えていきます。後半始まって3回も連続でマイボールのラインアウトをオーストラリアに取られます。

 そしてAB陣地で攻勢を仕掛け、ABに防戦一方へと釘付けにし、ABのデフェンスラインに何度もアタックを
仕掛けたあげく最後はウィル・ギニアのうまい判断からアダム・アシュレークーパーが左端にデフェンスラインを
破ってトライを取ります。このコンバージョンを左からだったのですが、ギットウがまたもや外しますが19-6
とこの対戦としては大量得点差がつきます。時間はまだ47分。

 時間はまだ十分あったためABはこの後直ぐに得たペナルティーをウィープが丁寧に決めて3点返しますが、
オールブラックスに流れが戻る様子は見られないまま激しい攻防の時間が流れ58分にオフサイドのペナルティー
をギットウからやっと代えられたビールが右側からしっかりしとめて13点差にまた戻す22-9となります。

 この時点で選手より監督陣が動きを見せはじめすでにビットーに買えジェロモ・カイノを入れていたのに加えて
3人の選手を一気にベンチから送り出します。クルーデンをあきらめこの日ABデビューとなったコリン・スレイド、
そして足の止まり始めた5;トム・ドネリー、3;オーウェン・フランクスに代えフォワードも補強します。

 この補強の成果からかもしれませんが、この後からABの逆転劇が始まります。すでに前半終わりのほうから
このゲームではABのスクラムがオーストラリアを圧倒する場面が見られていました。22-9の直後、オーストラリア
陣地でのオーストラリアボールのスクラムでペナルティーを奪うとマッコウの支持は3点を取りに行くのではなくて
サイドラインからのトライ狙いとしてオーストラリア22m内のラインアウトとします。

 このラインアウトから今年オールブラックスとしてはあまり見せなかったドライビングモールでゴールラインに
迫ります。この後のゴールライン手前での両軍の攻防は非常に激しいものになりますが、何とかオーストラリア
もゴールラインを死守します。7回連続のピックアンドダイブも跳ね返し、やっとABがバックスにボールを展開した
ところに猛烈ダッシュでボールを奪ったかに思えたのですが、長い長いアドバンテージの為再びボールは
ゴールライン手前5mのABボールスクラムへと戻されます。

 そしてこの左端のABスクラムで前半ビットのミスからトライを奪ったジェイムス・オコーナーがミスります。スクラム
に投げ入れられたボールをNo.8のキエラン・リードが拾い上げると同時に7;マッコウがブラインドサイドである
左サイドライン側に体を移動させます。この動作から左側を一人守っていたオコーナーはキエラン・リードに襲い
掛かりに入ります。リードはこのオコーナーとスクラムから離れてきたロッキー・エルソム2人に襲われかけますが、
その直前に左側に動いたマッコウに上手くパス。このパスを受けたマッコウが難なくゴールラインを駆け抜けトライを
あげます。

 このトライが全てでした。このトライが生まれるまではオールブラックスもこのゲームだけは負けるかなと思って
いたのがなんだか22-16の一発トライで逆転できる見込みがあるではないですか?そのとおりABは畳み掛けます。

 オーストラリアのキックオフから再開したオーストラリアの攻撃をまたセンターライン上でペナルティーを取ると
すかさずサイドラインにボールを蹴りだし、またフォワードがラインアウトから攻め込む姿勢。今度は一旦バックスにも
ボールが展開されますが、22m内に入ってからは断然フォワードが攻め立てる。オーストラリアも必死に守りますが、
ABのアタックには断然勢いがあります。そしてゴールポスト下まで迫ったところでラックからのボールを今度はマッコウ
が後ろから走りこんできたリードにパスを出してリードがそのままゴールラインを切るよう突っ込んでトライを取ります。
もちろんウィープの簡単コンバージョンは決まって22-23の逆転に成功。

 この時点で時間は73分。まだ勝敗の行方はキック一本でどちらにでも転がる。ここから終了までは球場全体が
騒然としたものになり、お互いのサポーターが声援を上がる。両軍のノンストップで行われる攻防に見ているほうも
のめりこみます。ABがオーストラリア陣地に攻め込むとオーストラリアの攻守に阻まれ直ぐに逆襲を受けます。
オーストラリアがAB陣地に入ると先週の南アフリカ戦を多くの人は思い出したでしょう。そして78分にAB陣地10m
のところで主審のホイッスルが吹かれる。もしやと思いきやこのペナルティーはカイノがブレイクダウンでボールを奪い、
オーストラリアが犯したペナルティー。すかさずキックでボールをオーストラリア陣地22mライン付近まで運びAB
ラインアウト。時間は79分。このラインアウトからのボールでモールを作りボールを停めていたのですが、79分45秒に
バックスにボールを展開。これをオーストラリアは食い止めてペナルティーをABから奪う。そしてサイドラインまで一旦
蹴り出して自陣10mのラインアウトから最後のアタックをオーストラリアは仕掛けます。サイドラインからボールが
投げ入れられたときに終了のサイレンが鳴り響く。けれどボールはオーストラリアが持つ。このボールにABは猛烈に
押し寄せます。そして何とかボールをバックスに展開することが出来たオーストラリアでしたが、このバックスにもABの
猛烈タックルが押し寄せ、たまらずボールはノックオンで止まってしまい主審のホイッスルが吹かれる。この瞬間ABの
誰もが両手を挙げて勝利を喜ぶ姿がとてもとても印象的でした。

 ワラビーズ 22−23 オールブラックス (前半 14−6)


 


 

 

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