2007’ワールドカップ 準々決勝 vs フランス戦


15.レオン・マクドナルド
14.ジョー・ロコソコ 13.マリ・ムレアイーナ 11.シティベニ・シティバツ
12.ルーク・マクアリスター 10.ダニエル・カーター
9.バイロン・カラハー

8.ロドニー・ソイアロ
7.リチャード・マッコウ(C) 6.ジェリー・コリンズ
5.アリ・ウィリアムス 4.キース・ロビンソン
3.カール・ヘイマン 2.アントン・オリバー 1.トニー・ウッドコック
 

リザーブ:
 
16.アンドリュー・ホー(アントン・オリバーと交代)
17.ニーミア・ティアラタ
18.クリス・ジャック(キース・ロビンソンと交代)
19.クリス・マソエ(ジェリー・コリンズと交代)
20.ブレンダン・レオナルド(バイロン・カラハーと交代)
21.ニック・エバンス(ダニエル・カーターと交代)
22.イサイア・トエアバ(ニック・エバンスと交代)
 

 10/8 オールブラックス破れる

 オールブラックス破れました。フランス国民、プレイヤー自身も思ってもみなかった大金星で、凱旋門の
周りには勝利を喜ぶ車、人であふれています。

 これ以上は無いというぐらいの準備を進めてきて負けてしまったNZは今後どうなるのでしょうか?この日
オーストラリアもまさかのイングランドに破れて、TV解説のものも言っていましたが、北半球のスタイルが
やはり勝っていたのでしょうか?速い展開でガンガン攻める攻撃ラグビースタイルは見直されることになる
のでしょうか?

 個人的にもとてもがっかりで、今日は、イヤ恐らく数日は立ち直れない感じです。またもや4年後まで喜び
の日が来るのを待たなければならなくなりました。あーっ、がっかり。これでまたもや当分の間はNZ国民
にはフランス人は嫌われることでしょう。今日はNZ国中喪中のような日になりそうです。

 ゲームは前半開始からABがいつものように攻め込み、フランスがキックで返す展開。しかしフランスの
デフェンスはしっかりしてそうな感じ。ABはキックで返されるボールを自陣からボールを回して攻め上がる。
この辺りはとても鮮やかなボール回しが見られる。そして13分に仏ペナルティーをカーターがキックで
決めてまず3-0で先行。

 その後すぐ仏キックオフ後、マクアリスターがライン突破して相手22m内まで走りこむ。そしてすぐに
サイドライン際にボールを回し、最後ライン際駆け上がるロックのアリ・ウィリアムスにボールが渡りコーナー
ポストぎわに長い手が届いたと思いきや、直前のタックルにより足がサイドラインを切ってトライにはならない。

 しかしこの後仏は22mラインからキックでAB陣地までボールを戻すが、素早いサイドラインからのクイック
スローからバックスにボールが展開されカーターが相手タックルをかいくぐる絶妙のパスでマクアリスターに
つなぎマクアリスターがまたもや相手陣地に走りこむ。今度はサポートにきたジェリー・コリンズに上手く繋がり
コリンズもその勢いのままゴール手前5mまで入る。ここでタックルが来るところで再びマクアリスターにパス
が繋がって、マクアリスターがそのまま倒れこんでトライをとります。カーターのコンバージョンも決まり10−0
とAB順調な立ち上がり。

 この後フランスのキックオフからフランスはゲームのペースを落とすようにフォワードを使い、またキック
プレイでAB陣地に居座ります。そして23分にABがペナルティーをAB陣地10mほど入った右端で起こし
ますが、この日キッカーで先発を言い渡されたBeauxisはキックを外します。

 フランスは前半よくこの10;Beauxisと15;DamienTrailleがキックでAB陣地にボールを送り込んで
きますが、ABは15;レオン・マクドナルド、と10;ダニエル・カーター、そして12;ルーク・マクアリスター
がしっかり対処します。

 またキックで出された仏ラインアウトをこの日ABは逆によく奪い取ります。前半では自陣に攻め込まれた
ところでの相手ラインアウトを3回も奪い取りました。

 そして30分にフランスペナルティーを43mほどの距離があるのも難なくカーターが中央付近からキックで
決めて13-0とします。この時点までではゲーム前心配されたカーターのふくらはぎの故障も問題ないように
思えました。

 少し点差がついてフランスのキックオフからこの日初めてと思われるフランスの攻撃が少し続きますが
ABも守ります。けれど勢いでオフサイドを取られ仏は左サイドからペナルティーでの得点のチャンスが訪れ
ます。この左からはキッカーが9;Elissaldeがやることになっていたようですが、30mほどの距離のこの
キックも外れてしまい球場内ガッカリのムードが漂います。

 この日のウェールズ、ミレニアムスタジアムはまたもや満員になり、フランスサポーターもたんまり入りました。
ドームの屋根は閉ざされたこともありその声援は非常に大きく響き渡るように聞こえてきます。

 前半終わりかけやっとフランスはAB陣地10mほど入った右端からペナルティーキックでBeauxisが決めて
10−3と折り返します。この時点ではフランスの反撃などありそうにないように思えました。特にひやりとする
フランスの攻めなど見られなかったので後半はABがトライを重ねて点差をつけるだろうとも思えました。

 その後半カーターのキックオフから始まるとABはボールを回して自陣から攻め続けます。フランスはしっかり
とラインデフェンスを引いて守ります。長い長い攻防が続き、ペナルティーもお互い無くてボールが動き続けます。
ABはピック&ゴーで攻め続けますが、仏はデフェンスを押し上げAB陣地までボールを戻します。

 そしてキックで運んだAB22m内からのフランスラインアウトでフランスは強いドライブを見せ、ABゴール
ラインを脅かします。何とか凌いだABでしたが、ボールはバックスに展開されます。すぐに仏10;Beauxisは
ABインゴールに向け小さなキックボールを蹴りいれます。このボールはABバックス人が3人も駆けつけ
しっかり抑えるのですが、この前にマクアリスターのデフェンスが相手アタッカーに対して故意的に行く手を
ふさいだという風に主審に取られマクアリスターにイエローカードが出されます。主審サイドから見たらそういう
風に見えたかもしれませんが、ビデオで見る限りはマクアリスターの動きはバックスへのパス先に走りよろうと
したところでキックでボールがインゴールに蹴られたのですぐさま振り返りインゴールにもどろうとしたところに
相手12番がぶつかってきたものでした。

 このペナルティーでフランスは難なく3点加え13−6となります。ABはこの後14人の劣勢を攻めて、そして
時間をかけて攻めきろうとします。カーターのキックオフ後ABはフォワードを使い狭い範囲でピック&ゴーを
続けます。仏22m内に入った後ゴールラインまで後3mのところでABノックオン。

 ABはこの時間(後半50分)でキース・ロビンソンに代えクリス・ジャックを入れます。またフランスもフッカー
とロックを代えあのチャバルも出してきます。

 ABは攻めますがフランスの固いデフェンスを崩せずカーターがドロップゴールも試みますが、これも外れます。
そしてその後の自陣22mラインからフランスは速攻を見せ、一気にAB22m内まで入り込みます。そして5m前
まできたところでさすがにABも硬いデフェンスを引きますが、ラインでフェンスの前で右そして左にボールが回され
再び右にボールが戻ってきたところで人数の少ないABのデフェンスをつかれ7;Dusautoirがゴールラインを
駆け抜けトライをとります。コンバージョンも決まりついにフランス13-13の同点に追いつきます。

 これまでに攻め込んできて盛り上がったフランス声援も一気に最高潮に達し、その声援は球場に響き渡り
悔しいほどうるさいものになります。そしてABがキックオフの際にマクアリスターはシンビンから戻り、またABは
フレッシュなメンバーを入れ替えてきます。アントン・オリバーとバイロン・カラハーは代えられても予定通りだった
と思いますが、ここで併せてカーターもベンチに下がります。やはり怪我がまだ完治していなかったようです。

 同点になるとスタジアムにもちろんたくさん来ているABサポーターも後押しをします。フランスの歓声の中
キックオフ後ABが攻めあがるとオールブラックス!の応援の声も上がってきます。そしてABはピック&ゴー
で攻めます。フランスも執拗に守る。ペナルティーも犯さずABの13回にも及ぶピック&ゴーの攻め込みに耐え
ます。一度はゴールライン手前まで来たところでボールを奪われセンターライン付近までボールを戻されますが、
再びABはピック&ゴーで攻め込み最後はロドニー・ソイアロが相手デフェンスの下にもぐりこんでトライをとり
ます。ここでコンバージョンのキッカーはマクアリスターに代わっていたのですが、彼はコンバージョンを外して
しまい18−13となります。

 その後フランスのキックオフ後もやや意気消沈した感じのフランス声援に代わりオールブラックスの声援が
大きくなります。それに押されてABは再び攻め込みます。この時間にはABはジェリー・コリンズに代えクリス・
マソエをそしてフランスは10番;Beauxisに代えベテラン;フレデリック・ミシェラックを入れてきます。

 ABはボールを繋ぎフランス陣地に入り込みますが、デフェンスを決定的に崩すことは出来ません。こんな中
で67分、ABのこぼしたボ-ルでフランス22mからフランススクラムのボールを受けた15;Trailleがブラインド
サイドを駆け抜けカウンターアタック。センターラインにかかるときにTrailleはミシャラックにパス。このパスは
完璧にフォードパスだったにもかかわらず主審、線審は見逃し、ミシェラックは軽やかなステップも見せAB22m
まで走りこみます。そして最後は12番;YannickJauzionにボールが渡りゴールラインの切ってトライとなります。
この大切なコンバージョンもしっかり決まりついにフランスは逆転に成功18−20となります。

 時間は70分となりまだ10分も残っていましたし、点差も2点差ということでキックでも逆転可能だったの
ですが、フランスはその後守り通します。ABはこの後25回以上も続くピック&ゴーでボールを保持しながら
攻め続けますが、ゴールラインまでには足りません。一旦センターラインまで戻され時間も76分というところで
マクアリスターがドロップゴールも狙いますが、距離が足りない。その後もABは攻め続けるのですが、ラインを
突破することはできず時間切れとなってしまいました。

 逆転を許してからは全くもって悪夢を見ているようでした。まさかまさかまたもやフランスに負けるのが現実味
を帯びてくると誰もが頭を抱えた思います。しかしこれが強豪同士の本当のラグビーマッチなのでしょう。

 このゲームの前に行われたオーストラリアvsイングランドも同じような内容だったと思います。攻めるオースト
ラリアに対してよく守り、イライラの募るオーストラリアのミスに乗じてジョニー・ウィルキンソンが完璧なキック力を
見せてこれまた予想外のイングランド勝利となりました。オーストラリアはモートロックがキックをウィルキンソン
ほど成功率が高くなかったのが悔やまれると思います。

 しかし来週の準決勝ではこの北半球の2チーム、フランスとイングランドが当たりますが、フランスの方に
断然勢いがついたと思います。これまでこのワールドカップはオールブラックスのものとあきらめていたフランス
国民も目覚めさせてこの後は恐らく国を挙げての声援となると思われます。
 

 

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